第66章 助動詞「らし」がシク活用になる理由  ―ク形容YA群

【1】助動詞「らし」の遷移過程

助動詞「らし」はシク活用する。
蘇我ノ子らを 大王ノ 使はすらしき〈兎伽破須羅志枳〉
[推古紀20年 紀歌103]
「使はすらしき」は、「使はS」に、「心=WWRYA」と、S¥と、連体形の活用語足KYΩYが続いたもの。
使はすらしき=使はS+WWRYA+S¥+KYΩY
→つかはSWWRYAS¥KYωY
母音部YAにS¥Kが続く場合、YAは¥に母音素性を発揮させる。
→つかはSwWRYA ―S¥ ―KyY→つかはSWRyAし ―KY
=つかはすらしき甲

【2】シク形容YA群

語幹末尾音素節の母音部がYAである形容詞はシク活用する。
語幹末尾母音部がYAである助動詞をシク形容YA群と呼ぶ。