第44章 日本書紀の「迷」は「メ乙」「め甲」両用なのか
§1 日本書紀の「迷」はすべて「メ乙」である 【1】上代特殊仮名「迷」は「メ乙」「め甲」両用だとされている 上代特殊仮名の甲類・乙類の書き分けについて、『日本古典文学大系万葉集一』55頁の「校注の覚え書」は、「完全に言い … 続きを読む
§1 日本書紀の「迷」はすべて「メ乙」である 【1】上代特殊仮名「迷」は「メ乙」「め甲」両用だとされている 上代特殊仮名の甲類・乙類の書き分けについて、『日本古典文学大系万葉集一』55頁の「校注の覚え書」は、「完全に言い … 続きを読む
§1 広瀬本万葉集東歌で“心”が「吉々里」と読まれる理由 【1】「心」が上代近畿語で「ココロ」「キり」「ききり」と読まれる用例 (1)「コ乙コ乙ロ乙」。 女にしあれば 吾がコ乙コ乙ロ乙〈許許呂〉 浦洲ノ鳥ゾ [記上巻歌3 … 続きを読む
§1 続日本紀宣命の「荒ビ乙る」と延喜式祝詞の「荒び甲る」 【1】「荒ぶる」「荒ビる」「荒びる」の用例 「荒ぶ」の連体形は、『古事記』では「荒ぶる」だが、平安語初期の文献たる『続日本紀』には「荒ビ乙る」とあり、『延喜式』 … 続きを読む
§1 平安語下二段活用の一般的な遷移過程 平安語の下二段活用動詞の一般的な遷移過程を述べる。 《未然》 ずむ用法。 女はかくもとめむ[源氏物語夕霧] 求めむ=求M+¥Ω¥+WRW+∀+む→もとM{¥Ω¥}WrW∀む →も … 続きを読む
§1 「蹴ゑ」は上代語ではワ行下二段活用し、平安語前期の辞書類では終止形が「くゑる」「くぇる」「くゆ」「く」になる 【1】上代語ワ行下二段連用形「蹴ゑ」 [上代] 『日本書紀』神代上紀第六段本文の「蹴散」の注に「くゑはら … 続きを読む
§1 平安語「見る」の終止形・連体形・已然形の遷移過程 《終止》 平安語終止形「見る」の語素構成は上代語終止形「見」と同一である。 見る=MY+YRY+W→MYYRYW 平安語では、父音素にYYRYWが続く場合、まず、母 … 続きを読む
§1 平安語上二段活用の遷移過程 【1】平安語上二段動詞の終止形・連体形・已然形の遷移過程 《終止》 おもふとも こふともあはん 物なれや[古今和歌集11 ―507] 恋ふ=恋PW+YRY+W→こPWYRYW→こPWYr … 続きを読む
§1 上一段・サ変・カ変および五段(上代語ではナ変)の終止形の遷移過程 【1】現代語RYW潜顕遷移 現代語では、動詞終止形本質音の末尾三音素がRYWであれば、RYW直前で音素節が分離し、そのYが潜化して、終止形語尾は「る … 続きを読む
§1 上代特殊仮名の音素配列についての大野晋説と私見との相違点・共通点 私は日本語の単語を語素に分解し、語素の本質音を音素配列で表示し、それらの音素がどのように潜顕・融合して現象音になるかを論じる。この方法には先行説があ … 続きを読む