第41章 助動詞「り」がカ変・サ変・上甲段・下二段・上二段の動詞に続く遷移過程

§1 助動詞「り」がカ変・サ変・上甲段・下二段・上二段に続く遷移過程 【1】完了存続助動詞「り」は四段・サ変・カ変・上甲段・下二段・上二段の動詞に続く 濱田敦は「助動詞」『万葉集大成第六巻』95~96頁の〔り〕の項で、完 … 続きを読む

第42章 過去助動詞「き」 SYK

§1 過去助動詞「き」の遷移過程 【1】継続助動詞「ふ」および動詞に過去助動詞「き」が続く用例 (1)継続助動詞「ふ」に過去助動詞「き」の終止形「き」が続く用例。 神遣らひ 遣らひき〈夜良比岐〉[古事記上巻] (2)動詞 … 続きを読む

第43章 反実仮想助動詞「ませ・まし」 MAS

【1】反実仮想を表す助動詞「ませ・まし」の用例 悔やしかモ かく知らませば〈斯良摩世婆〉 青丹ヨし 国内コトゴト見せましモノを〈美世摩斯母乃乎〉[万5 ―797] 思ふにし 死にするモノに あらませは〈有麻世波〉 千遍ソ … 続きを読む

第44章 日本書紀の「迷」は「メ乙」「め甲」両用なのか

§1 日本書紀の「迷」はすべて「メ乙」である 【1】上代特殊仮名「迷」は「メ乙」「め甲」両用だとされている 上代特殊仮名の甲類・乙類の書き分けについて、『日本古典文学大系万葉集一』55頁の「校注の覚え書」は、「完全に言い … 続きを読む

第45章 “心”が広瀬本万葉集東歌で「吉々里」、古事記で「紀理」、古今集甲斐歌で「けけれ」と読まれる理由

§1 広瀬本万葉集東歌で“心”が「吉々里」と読まれる理由 【1】「心」が上代近畿語で「ココロ」「キり」「ききり」と読まれる用例 (1)「コ乙コ乙ロ乙」。 女にしあれば 吾がコ乙コ乙ロ乙〈許許呂〉 浦洲ノ鳥ゾ [記上巻歌3 … 続きを読む

第46章 上代近畿語の「賜へ甲る」が続日本紀で「賜∧乙る」になるのはどうしてか

§1 続日本紀宣命の「荒ビ乙る」と延喜式祝詞の「荒び甲る」 【1】「荒ぶる」「荒ビる」「荒びる」の用例 「荒ぶ」の連体形は、『古事記』では「荒ぶる」だが、平安語初期の文献たる『続日本紀』には「荒ビ乙る」とあり、『延喜式』 … 続きを読む

第47章 自動詞「消」の活用が上代語ではカ行下二段、平安語ではヤ行下二段に変化する理由

§1 平安語下二段活用の一般的な遷移過程 平安語の下二段活用動詞の一般的な遷移過程を述べる。 《未然》 ずむ用法。 女はかくもとめむ[源氏物語夕霧] 求めむ=求M+¥Ω¥+WRW+∀+む→もとM{¥Ω¥}WrW∀む →も … 続きを読む

第48章 「蹴ゑ」の活用が下二段から下一段・五段へと変化する理由

§1 「蹴ゑ」は上代語ではワ行下二段活用し、平安語前期の辞書類では終止形が「くゑる」「くぇる」「くゆ」「く」になる 【1】上代語ワ行下二段連用形「蹴ゑ」 [上代] 『日本書紀』神代上紀第六段本文の「蹴散」の注に「くゑはら … 続きを読む

第49章 平安語「見る」「居る」の終止形・連体形・已然形の遷移過程

§1 平安語「見る」の終止形・連体形・已然形の遷移過程 《終止》 平安語終止形「見る」の語素構成は上代語終止形「見」と同一である。 見る=MY+YRY+W→MYYRYW 平安語では、父音素にYYRYWが続く場合、まず、母 … 続きを読む

第50章 「い甲」「イ乙」の識別が平安語で消滅する理由

§1 平安語上二段活用の遷移過程 【1】平安語上二段動詞の終止形・連体形・已然形の遷移過程 《終止》 おもふとも こふともあはん 物なれや[古今和歌集11 ―507] 恋ふ=恋PW+YRY+W→こPWYRYW→こPWYr … 続きを読む