第51章 現代語の動詞活用の遷移過程

§1 上一段・サ変・カ変および五段(上代語ではナ変)の終止形の遷移過程 【1】現代語RYW潜顕遷移 現代語では、動詞終止形本質音の末尾三音素がRYWであれば、RYW直前で音素節が分離し、そのYが潜化して、終止形語尾は「る … 続きを読む

第52章 大野晋の動詞古形説と私の動詞本質音説の相違点・共通点

§1 上代特殊仮名の音素配列についての大野晋説と私見との相違点・共通点 私は日本語の単語を語素に分解し、語素の本質音を音素配列で表示し、それらの音素がどのように潜顕・融合して現象音になるかを論じる。この方法には先行説があ … 続きを読む

第53章 助詞「ノ・な」 N∀Ω

§1 助詞「ノ」「な」の意味・用法 助詞「ノ乙」「な」には種々の意味があるが、その一部を記す。 【1】助詞「ノ」の意味・用法 (イ) 体言に続いて後続語を修飾する。 島ノ〈能〉崎崎[記上巻歌5] (ロ) 直前の語が主語で … 続きを読む

第54章 助詞「ロ・ら」 R∀Ω

【1】助詞「ロ」の意味・用法 助詞「ロ乙」「ら」には種々の意味があるが、その一部を述べる。 (イ) 体言に続いて後続語を連体修飾する。 吾ロ〈呂〉旅は[万20 ―4343防人歌。“私の旅は”] (ハ) 直前の語が直後の動 … 続きを読む

第55章 助詞「あ」

§1 複数を表す助詞「あ」 日本語には助詞「あ」がある。体言・動詞・助詞に付くが、熟合・縮約するので、音節「あ」として現れることはない。 【1】数詞に名詞が続く場合、名詞に助詞「あ」が付いて縮約する ① 「年」は通常は「 … 続きを読む

第56章 「吾が大王」が「わゴおほきみ」になる理由

§1 「常」「苑」が訓仮名で「ト」「ソ」になる理由 【1】「常」が通例は「トコ」と読まれ、訓仮名では「ト」と読まれる理由 [上代1] 常を訓みてトコ〈登許〉ト云ふ。 [古事記上巻。「天之常立神」注] [上代2] やまト〈 … 続きを読む

第57章 「が+思ふ」が「がモふ」になる理由

§1 「吾が家・吾ぎ家」と「吾ぎ妹」 【1】「が+家」が「がへ」にも「ぎへ」にもなる理由 [上代1] 吾がへ〈和何弊〉ノ園に 梅が花咲く[万5 ―837] [上代2] 吾ぎへ〈和岐幣〉ノ方よ 雲居立ち来モ[景行記歌32] … 続きを読む

第59章 「荒し男」の「荒し」は形容源詞、「し」は形容源化語素S¥

本章以下では「形容詞」は“形容詞型の活用をする助動詞”を含むものとする。 §1 「荒し男」の「荒し」は形容源詞、「し」は形容源化語素S¥ 【1】「荒し男」「堅し岩」では「荒し」「堅し」が終止形の形で後続語を修飾する 荒し … 続きを読む

第60章 形容詞終止形語尾にカ行音節がない理由

§1 「苦し」終止形が「くるし」に、「寒し」終止形が「さむし」になる理由 上代語・平安語の形容詞(カリ活用を除く)は、シク活用でもク活用でも、終止形以外では語尾にカ行音素節「き」「く」「け」がある。だが、終止形では、シク … 続きを読む