第61章 連用形「悲しく」に「し」があり、連用形「深く」に「し」がない理由  ―シク形容∀群とク形容A群

§1 「悲し」の連用形「かなしく」に「し」がある理由  ―シク形容∀群 【1】シク活用形容詞連用形「悲しく」の遷移過程 悲しく〈可奈之久〉思ほゆ[万17 ―4016] 形容詞連用形の活用語足はKWUだと推定する。 シク活 … 続きを読む

第62章 連体形「苦しき」に「し」があり、連体形「寒き」に「し」がない理由 YΩY

§1 「幸く」が「さきく」「さけく」「さケく」「さく」と読まれる理由 【1】近畿語の副詞「さき甲く」は東方語では「さけ甲く」「さケ乙く」「さく」とも読まれる [近畿] さきく〈佐伎久〉いまして 早帰りませ[万5 ―894 … 続きを読む

第63章 形容詞未然形の仮定用法・ずむ用法  ―シク形容W¥Ω群

§1 形容詞未然形仮定用法の用例 形容詞未然形には、仮定条件を表す用法と、否定助動詞「ず」・意志助動詞「む」に上接する用法とがある。前者を形容詞の未然形仮定用法と呼び、後者を形容詞の未然形ずむ用法と呼ぶ。 【1】形容詞未 … 続きを読む

第64章 ク活用「しコメしコメき」「武き」  ―ク形容Y∀Y群

§1 「しコメしコメき」はク形容Y∀Y群 【1】「女(め・み・メ)」の本質音はMY∀Y “女”の意味の一音節語は、第44章で述べたように、8世紀の近畿語では「め甲」と読まれ、東方語および7世紀前半の近畿語では「み甲」とも … 続きを読む

第65章 ク活用「うれたし」とシク活用「うれし」  ―シク形容YAYYO群

§1 ク活用「うれたし」は「うRYA+YYTAし」 【1】「言痛」「言痛かりつ」の語素構成・遷移過程 (1)近畿語「コちたみ」の語素構成・遷移過程。 人言を 繁み 言痛み〈許知痛美〉[万2 ―116] 「言」の本質音は「 … 続きを読む

第66章 助動詞「らし」がシク活用になる理由  ―ク形容YA群

【1】助動詞「らし」の遷移過程 助動詞「らし」はシク活用する。 蘇我ノ子らを 大王ノ 使はすらしき〈兎伽破須羅志枳〉 [推古紀20年 紀歌103] 「使はすらしき」は、「使はS」に、「心=WWRYA」と、S¥と、連体形の … 続きを読む

第67章 形容詞已然形語尾が「けれ」「け」「か」「き」になる理由  ―ク形容¥O¥群

§1 形容詞已然形の接続用法・コソや用法 上代語の形容詞已然形の語尾は「けれ」「け」「か」「き」の四通りあるが、§1・§2では「けれ」「け」「か」について述べる。 形容詞の已然形には接続用法と コソや用法とがある。 【1 … 続きを読む

第68章 形容詞くは語法・形容詞くトモ語法

§1 形容詞くは語法の語素構成 【1】形容詞くは語法 形容詞末尾の「く」に助詞「は」が付いて仮定条件を表す用法がある。これを形容詞くは語法と呼ぶ。 《シク活》 恋ヒしくは〈恋之久者〉 形見にせヨト 吾が夫子が 植ゑし秋萩 … 続きを読む

第69章 否定助動詞ずは語法

§1 否定助動詞ずは語法が仮定条件を表す理由 【1】否定助動詞ずは語法 否定助動詞「ず」に助詞「は」が付いた「ずは」は仮定などを表す。この語法を否定助動詞ずは語法と呼ぶ。 「ずは」が仮定を表す用例を挙げる。 恋ヒ忘れ貝  … 続きを読む

第70章 形容源詞「おだひし」とシク活用形容詞「さぶし」「斎斎し」  ―Y群・YUY群・UY群

§1 形容源詞「おだひし」  ―シク形容Y群 【1】形容源詞「おだひし」の用例 天ノ下ノ公民ノ息安まる∧”き事を旦夕夜日ト云はず思ひ議り奏したまひ仕∧奉れば、款しみ明きらけみ おだひ甲しみ〈意太比之美〉たノモ … 続きを読む